samedi 5 décembre 2015

古い友人との思わぬ再会 Unexpected meeting with my old friend

5 décembre 2008
 
Prof. Gary Koretzky (University of Pennsylvania)


一昨日、研究所でエレベータを待っている時だった。後ろに目をやるとセミナーのポスターがあり、そこで彼のセミナーが今日あることを知る。エレベータがすぐ来ていたら、こうはならなかっただろう。もう10年以上前になるだろうか、彼がアイオワ大学にいる時に共同研究をやり、相互に行き来をしたことがある。彼の専門は免疫担当細胞が外の情報を細胞の中で処理する時に重要となるアダプターと呼ばれる一連の分子で、現在第一線で精力的に研究を進めている。最初に会った時から偉ぶるところはなく、少年のようなナイーブさを持って素直に問題の本質に迫るタイプの研究者で、その姿は涼しげである。彼のことを悪く言う人はいないのではないだろうか。今回のセミナーでも彼の人柄が滲み出ていた。最終的にはヒトの病気の治療に役立つ研究を目指している様子であった。

セミナーの後、やはりアメリカから2週間研究所に滞在していたコネティカット大学のLeo Lefrançois博士のfairwell party があったので参加させていただいた。研究生活の後に哲学をやっている人として紹介していただき、少しだけ話す時間があった。今回の滞在では実験するのではなく、研究所の皆さんとディスカッションをすることに時間を使ったとのことであった。相互の研究のためということもあるだろうが、こちらの若い層とアメリカとの交流という意図もあったのかもしれない。機会があればまた来たい様子であった。彼からは、フランスで哲学をやっているとの話だが、それは一生のことになりますねとの言葉が返ってきていた。

ギャリーから最初に出た質問は、こちらでの生活に満足しているか、ホームシックにはならないかというものだった。精神状態は非常によいし、不思議なことにホームシックにもならないと答えると、彼の口からは 「前にも言ったことがあるが、あなたは私が会った日本人の中で最も日本人らしくない日本人だ (You are the most UNjapanese Japanese that I've ever met. You know that?)」 との言葉が出ていた (英語の確度は不明だが)。あれから10年は過ぎているが、それでもまだこの観察が彼の中では生きているらしい。凄いことである。そして、これから何かまとまりをもった哲学を生み出すことができそうか、との質問も出ていた。また、あなたが来るのを知っていればあなたの仕事の話を出すのだったが、などと気を使ってくれていた。ということで、思いもかけない再会となり、時の流れの綾を味わっていた。


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samedi 26 décembre 2015


コレツキー博士の印象が「最も日本人らしくない日本人」とのことだったが、これも記憶の彼方に去っていた。今改めてこの言葉を読み、あれからさらに7年が経っており、その間フランスという異文化の中にいたので、「日本人らしくなさ」にも磨きがかかって来たのではないかと勝手に想像している。今や「・・・らしさ」を求めること自体、あまり意味がないのではないか。敢えて求めるとすれば、それは「自分らしさ」ということになるだろう。その自分でさえ、定まってそこにあるものではない。自分とは何者なのか、つまり自分の中に何が詰まっているのかを探り続けるのがこの人生ではないだろうか。そうだとすれば、その人間がいる環境が変わることは、その中身を引き出す上で良いことこそあれ、否定的に捉えるべきものではないのではないだろうか。






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