fraises des bois
ホテルにある le figaro を毎日見ているが、夏の特集として人生における唯一の悔いを各界の名士に語ってもらう企画と歴史に残る毒殺者 empoisonneurs を紹介する1ページの記事が面白い。例えば、「悔い」 シリーズの昨日はハンモックでも取り上げたことがあるベルナール・ピヴォー Bernard Pivot 氏 (5 mai 1935 -)。
彼のことを知ったのは、TV5の番組 "Bouillon de culture" や "Double je" (これはフランコフォンの外国人にフランス語との付き合いなどを聞く興味深い試み) で、その人懐こい笑顔と博識が印象的であった。彼の記憶力は作者も驚くほどであるが、第二次大戦後に結核にかかってから努力しなければ覚えられなくなったという。もう一つの大きな問題は、15年ほど前から人の顔をおぼえることができなくなり、悪評を受けるようになる。例えば、前の週に番組に出ていたにもかかわらず、空港で会っても知らん振り。その態度が侮蔑的で高慢だ (c'est du dédain, de l'orgeuil.) と写ったらしいが、そういうハンディキャップを知らなければ当然の反応だろう。このインタビューの最後にインタビュワーを写真に収めていたという。
本日悔いを語っているのは、Europe 1 の会長を務めるジャン・ピエール・エルカバッハ Jean-Pierre Elkabbach さん (29 septembre 1937 -)。こちらの悔いはより生々しい。40年ほど前にシャンゼリゼで青いドレスの魅力的な女性に会う。振り返ると彼女もこちらを見ている。それから彼女は道に入り、追いかけるが遂に見つけることができなかった。若き日のある一瞬に声をかけなかったことを一生の悔いとして持っている。また、文学的な悔いとしては、アルベール・カミュに会っておかなかったこと。共通の友人がいて、その友人宅にはカフェの時間に行っていたが、そこには彼が吸ったタバコの灰が残っているだけであった。
彼らの年齢を見ると、自らの悔いを語るのはもう少し先になりそうだ。