samedi 15 mars 2008

アドルフ・ケトレーと平均人


不思議なつながりを感じることがある。先週土曜にランデブーがあり、その時に私の生き方がいわゆる正規分布から外れるものであることを指摘されて、妙に納得したことについてはすでに触れている (2008-03-09)。ところで、今週最初のクールがその話から始ることになるとは、誰が予想したであろうか。そのクールのテーマは計量的研究で、その中にケトレーという統計学的な手法を持ち込んだベルギーの研究者が颯爽と登場してくるのである。

アドルフ・ケトレー Adolphe Quételet (7 février 1796 à Gand - 17 février 1874 à Bruxelles) 

彼は当時天文学に用いられていた統計学を社会科学に持ち込み、「社会物理学」 を提唱している。この手法で集団におけるある現象の分布状態を明らかにし、その正規分布の中央に来る平均的な人間について "l'homme moyen" 「平均人」 なる概念を持ち出している。この概念を中心に、結婚、犯罪、自殺、社会における行動規範のようなものを解析しようとした。集団を解析する彼の方法は医学の分野にも影響を与えたとあるが、より広く人間の考え方に大きな影響を残しているように感じられる。私から見るとそれは管理する側の発想で、一人ひとりに とっては悪い影響があるとしか思えないのだが ・・・ もちろん、ほとんど聞こえないような声で独り言を囁くように講義するそのフランス人教授 (今までに見たことがないタイプ) も私と同じ考えを持っているように受け取った。しかし、先週のお話ではどうもほとんどの人 (少なくとも日本人?) はそうは考えないようである。

彼の業績に身近に触れることができるのは、体重 (kg) を身長 (m) を2乗した数字で割って計算する BMI (Body Mass Index; Indice de masse corporelle) だろう。日本語ウィキには彼の名前は出てこないが、ケトレー指数 (l'indice de Quételet; Quetelet index) とも言われているもので、太り過ぎ・痩せ過ぎを数値で私たちに教えてくれる。


同じこの日、これまでの研究生活で使っていた、2つのグループの平均値の間に有意差があるのかどうかを検定するための Student t test という方法に出てくる "Student" の背景を知ることになり、あの嬉しい感覚が再び訪れた。ひょとすると、「・・・とは実はこういうことだったのか」 とわかった時に訪れる爽快な感覚を味わうために今歩んでいるような気もしてくる。

Student = イギリスの統計学者 William Sealy Gosset (June 13, 1876–October 16, 1937) のペンネーム。詳しくはこちらを。



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