先日のセミナーに向かう時のこと。サンジェルマン通りを歩いていると、以前に入ったこともあるポーランド関連の本屋さんの前に差し掛かった。今回はウィンドウに並んでいる本に惹かれて中に入った。一つはポーランドの画家による作品集で、もう一つは手に入れることになったバルテュスについての新刊。写真と絵がなかなかよいのでつい手が出てしまった。アマゾンなどで手に入れた方が若干お安いのだが、出会った時に湧き上がる感覚のまま手に入れると、その本に対する思い入れが違ってくることを経験しているのでそうなったようである。やはりタイミングが重要な人間の出会いと似ているかもしれな い。
"Balthus, portraits privés" (Les Editions Noir sur Blanc, Lausanne, 2008)
この本の最後のほうに、ヴィム・ヴェンダース、ドナータ・ヴェンダースの追悼の言葉がある。
De temps en temps,
Entre rêve et réveil
Dans ces limbes entre le sommeil et la réalité,
Une image apparaît devant votre œil intérieur
Et vous vous dites:
« Seul Balthus aurait pu pendere cela ! »
L'art du vingtième siècle n'a pas connu d'autre rèveur
éveillé aussi précis et fantastique que lui.
(Wim et Donata Wenders, 2007)
時として
夢想と覚醒の間
まどろみと現実の間の漠とした中
あなたの内なる目の前に一つのイメージが現れる
そしてあなたは自らに語りかけるのだ
「それを描けたのはバルテュスだけだろう」 と
20世紀の芸術には 彼ほど正確でしかも幻想的な
覚醒する夢想者はいなかった
彼のことは以前ハンモックでも何度か触れているので、どこかに惹かれるところがあるようだ。どなたかが書いていた 「美の中に暮らす」 ことを実践してきたように見えるからだろうか。あるいは、思索から生まれ出た考えとその生き様の間に溝がないからだろうか。この本は自らが語った像ではな く、多くの人の中に写っていた像が記されている。折々にページを捲り、そこから浮かび上がってくる彼の姿を味わってみたい。
「芸術と脳科学の対話」 BALTHUS OU LA QUETE DE L'ESSENTIEL (2007-06-23)
バルテュスの世界に遊ぶ JOUER DANS L'UNIVERS DE BALTHUS (2006-07-23)
昨日近くの広場まで出かけてみたが、このところ見たこともないほどの人出であった。春が来ているということを実感して帰ってきた。
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パソコンがもう3時過ぎを示している。時間の感覚がそろそろおかしくなってきたかと思って部屋の時計を見ると私の感覚が間違っていないことを教えてくれる。夏時間が今日の2時から始ったようである。午前2時が3時になり、これからどんどん夜が明るくなる。
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