3月26日から5月19日まで吉田喜重監督の作品がポンピドー・センターで紹介されている。
Kijû Yoshida "Visions de la beauté"
相当大掛かりなレトロスペクティブになっている。彼の作品はまだなので、この機会に少し見ておきたいものである。ポンピドー・センターのページに彼の言葉が出ている。そのタイトルには最近ここでも話題になった他者性を表す altérité
が出てくる。彼は映画芸術をそう捉えていたようだ。その最後に、このようなレトロスペクティブは普通であれば作者が死んでから行われるものだが、生きてそ
こに参加できる喜びが語られている。
"Le cinéma comme altérité --- ce qui ne m'appartient pas..."
(他者性としての映画 --- 私には属さないもの)
詳
しくフォローしているわけではないが、彼の映画自体が日本では余り顧みられなくなっていたようにも感じる中、このような催しが行われるパリ。芸術に対する態度の成熟度とでも言うのだろうか。日本での受容との差を感じざるを得ない。今自分の置かれた立場から見ると、確かに日本では芸術に対するレンズが濁りがちになっていたように感じる。自らの意思とは関係なく、個人を取り巻く社会がどこに価値を置いているのかという基本的なところが、目に見えない形で私の感受性を侵食していたかのようである。忙しさのためばかりではなく、われわれはそこにあるものさえ見えなくなっている可能性がある。
いずれにしても芸術家がこのような形で報われることは喜ばしいことである。
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