jeudi 11 octobre 2007

友人訪問 ― Alain Prochiantz を聞く



先日、こちらに来た挨拶を兼ね、P研究所のMを訪ねる。まずこちらに来てからの私の奮闘の様子を話した後、近くのレストランで昼食。そこに向かう途中に、それまで彼の秘書をやっていたSと遭遇。彼女の人懐こい笑顔が私を迎えてくれた。本当によくぞここまで来たという感慨があったようだ。今は研究所の各セクションの連携を担当しているという。レストランでの話はいつものように多岐に渡った。まず彼の趣味である彫刻について。去年、今年とギリシャに行って彫刻をやったようだが、彼にとっては空 vide に至るプロセスだと言う。また、実験をする時と頭の使い方が似ているという。これは実際にやってみないとなかなか理解するところまでは行かないだろう。それから私の大学での研究のこと。どのようなテーマになるのかわからないし、どのようなことになるのかも全く闇の中だと言うと、励ましの言葉をかけてくれ た。また、周りの学生が変なやつがいるという目で見ないかと聞いてきたが、少なくとも私の中では何も感じないと答えておいた。お前の行動は少し羨ましいところもあるが、なかなかできないという。彼のように責任を負っているとそういう決断には至らないというのはよく理解できる。東洋の果てから、言葉もおぼつ かないおじ(い)さんがよりによって哲学の勉強に来たということがわかったのか、横のお客さんが話に乗ってきて "Bienvenue en France" と声をかけてきてくれた。

その日は6時からのコレージュ・ド・フランス Collège de France のコースを聴く。広場には以前 「ハンモック」 でも少しだけ触れたことがあるジャン・フランソワ・シャンポリオンの像がある (今日の写真)。講師はアラン・プロシアンツさん (Alain Prochiantz, 1948- )。彼とは数年前の日本の会でご一緒したことがあるので、興味を持って出かけた。この方は非常に幅広い興味を持っていて、科学の歴史のみならず文学・哲学は言うに及ばず、演劇の分野にも実際に参加している。謂わば、flamboyant なパーソナリティの持ち主である。その前日の Le Monde では一面を割いたインタビュー記事が載っていた。会場の雰囲気は、皆さんが科学と非常に近い関係を持っているような、科学を支えているというような印象を持つ。 非常に主観的だが、会場の空気が落ち着いていて濃い。開講のお話だったせいもあるだろうが、よく本を読む人らしく時間と空間を自由に羽ばたく引用が多く、 科学と芸術が彼の頭の中で渾然一体になっているのがわかる。もちろん彼自身の個人的な奥行きなのだろうが、フランスには同様の傾向を持つ科学者がいることを知っているので、それを生み出す何かがあるような気がする。それが科学の伝統の違いなのだろうか。またその辺りにもアメリカの科学者と違いがあるように感じる。日本ではこのような講演を聞いたことはない。



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