vendredi 19 octobre 2007

初めてのスト




パリのスト初体験である。私がフランスに触れるようになって最初に驚いたのが、衛星放送で見たストであった。日本の状況に埋もれていたせいか、普通の大人がこれほど頻繁にデモやストをやっていることに、率直に目を開かされたのだ。彼らが政治を近いものとして受け取り、時にはっきりとした態度で示すという姿勢を持っているのではないかと感じた。数日前には若い医師のストがあり、講義が終って外に出ると大学前広場にも若い医療関係者が溢れていた。その中の一人のインターンと話してみたが、自らを取り巻く状況を真剣な目で語ってくれた。

そして、昨日は交通機関のストである。先日のフランス語のコースで、先生が自虐的にこお言っていた。それが日常となると感慨も変わってくるのだろうか。

  "Grêve, c'est un sport national. C'est un plaisir culturel."
   (スト、それは国民的スポーツであり、文化的楽しみである)

ストを理由に授業をサボるのもどうかと思い、一応メトロに行ってみる。案内を見てみると全く動いていない路線もあるが、私のところは fortement perturbé とあるので、他の人はそれは全くサービスがないことだと言っていなくなったが、一つだけ通れる入口からホームに向かった。ホームでは数人が待っている。そこでアナウンスがあったのだが、最後が聞き取れない。横にいるフランス人に聞いてみたが、わからないという。それから10分ほどして同じアナウンスがあった。それでもわからない。今度は通りかかった人に聞いてみた。それでやっと、"le service est annulé" ということがわかる。仕方なしにタクシーで大学まで向かった。

教室の前に行っても人がいない。通りかかった女子学生がどの講義を待っているのか声をかけてきた。少し話してみると現代哲学に興味を持っているようだ。おっとりしていて感じがよい。日本から来たばかりだと自己紹介すると、今パリ第一の Lapoujade 先生 (Bergson と Deleuze の専門家とのこと) がカンファランスのため日本に行っていると教えてくれた。そして、今日はストだから授業はないんじゃない、と言っていなくなった。秘書室も閉まっている。しかし哲学科の図書室は満員なので、諦めて大学前のカフェで明日予定されている本 (原著は英語) をフランス語訳とともに読む。なかなか捗らない。疲れてきたところで出ることにした。

問題は帰りをどうするかであったが、まず歩けるところまで歩くことにした。途中、何気なく入った本屋が気に入り1時間ほど立ち読みをする。結局何かの縁があると思い、読んでいた2冊を手元に置くことにした。さらに歩みを進めたが、三分の一くらいのところからタクシーのお世話になった。運転手はポルトガルから7年前に来たという青年。私が何をやっているのか聞いていた。観光客、ビジネスマン、ジャーナリスト、、、、まさか学生だとは思わなかったようだ。それは第二の青春でいいですねと言う。道すがら哲学と科学の話やフランス語とポルトガル語についてなどなど、ずーっと話してきた。彼によると、ポルトガル語では言い方が一つしかなく直接的な場合でも、フランス語ではいくつかの言い方があり、込み入っていると感じているようだった。

ところで、パリ交通公団 RATP (Résie Autonome des Transports Parisiens) というのがあり、これが今回ストに絡んでいる。件のフランス語の先生のお話では、この公団はこうも言われているという。このユーモアは Wiki にも出ていたので、広く知られているのだろう。

  RATP = Rentre avec tes pieds (あなたの足でお帰りなさい)

人それぞれだろうが、ストのお陰で新鮮な一日を味わわせていただいた。



Aucun commentaire:

Enregistrer un commentaire