dimanche 4 novembre 2007

テキサスからのプレゼント



昨日の夜、バルコンに出て久しぶりにぼんやりと時間やこの世に生きる意味などに想いを巡らせていた。ワインをお供に。今回こうしてパリに落ち着いていることは、自らが確実にこの世から跡形も無く消え去るということを理解したところから始っている。それまでは永遠に生きるものだと事に向き合わずに思っていた。この世からいなくなることがはっきりすると、今ここにいることが奇跡に近いということに気付く。その時間を味わわなければならない。その意味を考えなければならない。その結論の出ない問いを問い続けなければならないと考えたのである。

以前に少しだけ触れたことがあるが、偉大な進化生物学者のエルンスト・マイヤーが生物学を機能生物学 functional biology と進化生物学 evolutionary biology に分けて考えている。時間軸で見ると、前者は非常に短い範囲の現象を扱い、後者は気が遠くなるほどの時間を考えなければならない。前者はどのようにしてその現象が起こったのかという問いに答えを出そうとし、後者はそこに意味を与えられないかという態度で研究するが、それは突き詰めると進化の問題に行き着く。私自身の経過を振り返ると、functional なところにだけ身を置いていた自らが不完全に思え、終わりに近くなり完全には満たされない自分を見ていた。そういうこともあり、もう少し長い時間軸で考えてみたくなったのである。それをさらに広げて考えると、私の中ではこの世の生き方と直接関係を持つ問題として捉えざるを得なくなったと言うこともできる。

そんなことを考えながら部屋に戻り、パソコンを覗くとメールが入っている。テキサスの友人からで、今月末に日本に行くので是非会いたいという。彼には私の状況を伝えてあったはずだが、おそらく忙しさの中でどこかに行ってしまったのだろう。改めてその旨を伝えた。それから再びバルコンに出て考えていたが、寒さもあり再び戻ると彼からの返事が入っていた。

 「あなたがそう言っていたことを今思い出しました。私もできればやってみたいことです。それは真理を探究するという大きな冒険になるでしょう。残念ながら、今回はフランスに行く機会はありません。健闘を期待します。ところであなたであればこの詩を気に入るでしょう」

とあり、美しい写真とともに次の詩がパワーポイントで添付されていた。

  "Live A Life That Matters" (by Michael Josephson)

 (リンクのやり方が不明のため、このページの最初にある "PowerPoint Presentation" をクリックしてください)

ワインも手伝っていたのか、それまで考えていたことがそのまま別の言葉になっているのを見て心が高鳴っていた。何というタイミングだろうか。こういうことがたまに起こるのである。すぐに返事をくれた彼の中にも同じ想いがあるのかもしれない。以前にパブロ・ネルーダの詩が音楽とともにパワーポイントになっているのを Amateur d'art 氏ブログで見つけた時の感動を思い出していた。

----------------------------
(version française)



Aucun commentaire:

Enregistrer un commentaire